夕暮れどき、どこからともなく聞こえてくる「い~しや~きいも~、や~きいも♪」という声。
あの独特の節回しは、昭和の時代からほとんど変わっていない。
子どもの頃、この声が聞こえると家の中にいながらそわそわした。
財布を握りしめて外に飛び出し、遠ざかっていく軽トラックを必死に追いかけた記憶を持つ人も多いだろう。
やっと追いついて買った焼き芋は、新聞紙に包まれたまま、冬の冷たい空気の中で
ホワホワ~、っと湯気を立てていた。
時代は変わり、スーパーマーケットに行けばいつでも焼き芋が買えるようになった。
それでもなお、あの売り声は消えずに残っている。
録音された音声に変わったり、車の形が変わったりしても、「い~しや~きいも~」の節だけは不思議とそのまま。
だけどなぜ、この声は残ったのだろう。
それは、単なる販売の手段というより、季節を知らせる“音の風景”として
人々の記憶に刻まれているからじゃなかろうか。
風鈴や蝉の声と同じように、この売り声もまた、日本の季節と結びついたひとつの記号になっている。
ふと耳にした瞬間、時間が少しだけ昭和の色に巻き戻る。
遠い日の夕暮れや、手のひらに伝わる焼き芋のぬくもりがよみがえる。
昭和から令和へと時代が移っても、この声が今も消えない理由って
きっとそんなところに、あるんですよね。

※画像はチャッピーに作ってもらいましたが、これ、文字はどこの国の文字なんだろうか。チャッピー、面白いです。