ドラマ > 1970年代

1970年代は高度経済成長期の終盤という時代背景で、社会の変化や人々の価値観を反映した作品が多く制作された。『太陽にほえろ!』『傷だらけの天使』『Gメン’75』『俺たちの旅』『3年B組金八先生(第1シリーズ)』をはじめ人気ドラマが続々と生まれ、家庭用ビデオも本格普及を迎える前だったことから、番組ファンは放送時刻に間に合うよう急いで帰宅するスタイルが一般的だった。テーマ音楽も注目を集め、テレビドラマが人々の生活の中に深く根差した時代。

─ 主な人気ドラマ(初回放送年を記載) ─

'79年10月-'84年10月(テレビ朝日)

『西部警察』

石原プロ制作のアクション刑事ドラマ。渡哲也演じる大門圭介を中心とする捜査チーム「大門軍団」が、東京・城西地区を舞台に凶悪犯罪へ挑む姿を描く。石原裕次郎演じる木暮課長の指揮の下、派手な銃撃戦やカースタント、爆破を多用したスケール感ある演出が人気を博した。『大都会』シリーズの流れを汲みつつ、若年層も意識した娯楽性の高い作風が特徴の作品。

’79年10月-’81年3月(TBS)

『噂の刑事トミーとマツ』

外見も性格も正反対な刑事・岡野富夫(トミー)と松山進(マツ)が名コンビ「トミマツ」として事件解決に挑む刑事ドラマ。クライマックスでは、臆病になるトミーをマツが罵倒し、奮起したトミーが一転して悪党を倒す展開が定番。全体に明るい作風で、殉職ではなく退職が描かれる点も特徴だった。海外のバディ刑事ドラマに着想を得た本作は、日本におけるバディもの刑事ドラマの元祖とされ、「和製スタスキー&ハッチ」とも評された。

’79年10月-’80年3月(TBS)

『3年B組金八先生』

後世にも伝えられるTBSドラマの代表作と言える学園ドラマ。武田鉄矢演じる中学校の教員・坂本 金八の教え子役に田原俊彦、近藤真彦、野村義男、三原順子、杉田かおる、川上麻衣子、小林聡美、伊藤つかさ、沖田浩之、鶴見辰吾などが並び、多くの人気歌手と俳優がこのドラマから生まれた。杉田かおるが演じた中学3年で出産し母となる浅井雪乃というショッキングな役柄は当時大きな話題となり、若者はもとより親世代の大きな関心も集めた。シリーズは2008年まで続いた。

’79年4月-11月(日本テレビ)

『俺たちは天使だ!』

金に縁のない麻生探偵事務所の5人が一攫千金を夢見て奔走する姿を描いたアクション・コメディ。沖雅也が『太陽にほえろ!』とは対照的なコミカルな役柄に挑み、代表作の一つとなった。発想の原点は米ドラマ『バークにまかせろ』で、富豪探偵の逆として貧乏探偵を設定。台本はアドリブで大きく変化し、遊び心あふれる作風が特徴となった。多岐川裕美、柴田恭兵、神田正輝らが出演。主題歌はSHŌGUNによる「男たちのメロディー」。

’78年10月-’79年4月(日本テレビ)

『西遊記』

ゴダイゴの「Monkey Magic」で幕を開ける日テレ開局25年の記念番組。中国の「西遊記」をドラマ化したもので、中国から天竺(インド)を目指す孫悟空の一行が遭遇する様々な困難を描く。孫悟空役に堺正章、三蔵法師に夏目雅子、沙悟浄に岸部シロー、猪八戒に 西田敏行。大河ドラマの裏ながら平均視聴率率19.5%、最終回では27.4%を記録し、イギリスをはじめ各国で吹き替え版が放送される大人気ドラマとなった。エンディング曲の「ガンダーラ」や挿入曲もゴダイゴが担当し、曲の力も含めたスケール感ある独特の世界観が魅力。三蔵法師役の夏目雅子の美貌でも話題を集めた。

'78年10月-'79年10月(日本テレビ)

『ゆうひが丘の総理大臣』

中村雅俊主演による青春学園ドラマで、『われら青春!』などの日テレ学園ドラマの系譜を継ぐ作品。夕日丘学園高校に赴任したアメリカ帰りの英語教師・大岩雄二郎(中村)が主人公で、初日に放った一言から「ソーリ」と呼ばれる存在となり、生徒たちと向き合っていく姿を描く。熱血さと自由な感性を併せ持つ教師像を軸に、若者の悩みや成長を描写。詩的なエンディング演出も印象的な作品。

’78年10月-’79年3月(日本テレビ)

『熱中時代』

1978年から日本テレビ系で放送された水谷豊主演の学園ドラマで、小学校教師・北野広大が赴任先で起こる様々な問題に体当たりで向き合う姿を描き、放送当時の文部大臣も欠かさず観ていたというエピソードを持つ。小学校教諭を主人公に据えた点が当時としては画期的で、高視聴率を記録した。’78年の第1シリーズ、’80年の続篇に加え、家庭を持った北野の奮闘を描く単発スペシャルも制作された。2011年には30年後を舞台にしたリメイク版も放送され、長く支持される作品となった。

’78年6月-’79年1月(フジテレビ)

『白い巨塔』

「サンデー毎日」に連載されていた山崎豊子の『白い巨塔』をドラマ化。映像化は本ドラマが3作目となった人気小説。大学の医学部を舞台に、野心に燃える第一外科の助教授・財前五郎の非情さと医療の暗部を描く。主役の財前は田宮二郎が演じた。手術シーンの多くは、医師や患者の許可を得た実際の映像が使われた。あと2回の放送で終了という段階で主役の田宮二郎が猟銃自殺し、それまで12~13%で推移していた視聴率が最終回では31.4%となるが、最終回の視聴率の高さについては視聴者に対し制作陣の憤りがあったとされ、非情なテーマの裏に作り手の良心が息づくドラマだった。

'78年5月-'79年2月(TBS)

『ムー一族』

前作『ムー』の続編として制作されたコメディドラマで、郷ひろみ、樹木希林の「林檎殺人事件」の挿入歌も話題となった。東京・新富町の老舗足袋屋「うさぎ屋」を舞台に描かれる物語で、途中で情報番組風コーナーや歌唱が挿入されるなど、ドラマとバラエティを融合した自由な構成で、多数の回が生放送で進行した。公開中継や視聴者参加企画、著名人のゲスト出演も多く、前作以上に実験性と娯楽性を強めた作品。

’77年12月-’78年6月(TBS)

『赤い絆』

赤いシリーズの第6弾、山口百恵主演。実の母親が赤線で働く娼婦だったことを知った小島恵子(山口百恵)が盛り場を闊歩する不良少女となり、街で出会ったエリート外交官とその婚約者に及ぶ複雑な人間模様を描く。それまでの赤いシリーズでは、お嬢様役や貧しくとも健気に生きるキャラクター設定だった百恵の斜に構えたハードな演技が特徴。ロケは渋谷界隈が中心で、再開発で様変わりしてしまった今、懐かしい渋谷の様子も見どころ。平均視聴率29.5%で、モモ&トモコンビではなかったものの、赤いシリーズの中で最も高いアベレージを叩き出した人気作。

'77年11月-'78年4月(日本テレビ)

『俺たちの祭』

中村雅俊主演の青春ドラマ。『俺たちの旅』『俺たちの朝』に続く同系譜の作品として期待されたが、コメディ色を抑え、挫折や苦悩、長い回想を重ねたシリアスな作風が特徴となった。そのため前2作とは印象を異にし、視聴率面では苦戦し、当初想定されていた1年放送に至らず半年で終了した。芸能界や劇団の裏側を描いた点も本作の特色で、後年ビデオやDVDとして商品化されている。

'77年5月18日 - 11月9日(TBS)

『ムー』

TBS水曜劇場で放送されたホームコメディで、東京・新富町の足袋屋「うさぎや」を舞台に描かれる。久世光彦が演出・プロデュースを担当し、伊東四朗が本格的に主演を務めた作品で、岸本加世子のデビュー作でもある。郷ひろみと樹木希林の掛け合いや名脇役陣の演技が光り、バラエティ色の強い構成や生放送回、通行人ゲストなど実験的演出も特徴となった。素朴な人情と笑いを重ねた作品だった。

'77年4月-11月(フジテレビ)

『華麗なる刑事』

新宿や渋谷を管轄する南口署刑事課を舞台にしたアクション刑事ドラマ。ロサンゼルス帰りの都会派刑事・高村一平(草刈正雄)と、鹿児島出身の人情派刑事・南郷五郎(田中邦衛)という対照的な二人がコンビを組み事件に挑む。高村は『ダーティハリー』の影響を受けたキャラクターで、44マグナムを携えたアメリカ的センスが特徴。派手なアクションや都会的演出に加え、主題歌披露や車両演出なども話題となった。

’77年4月-’87年3月(テレビ朝日)

『特捜最前線』

テレビ朝日系で放送された東映制作の刑事ドラマ。東京総合ビル33階に置かれた架空部署・警視庁特命捜査課に所属する刑事たちの捜査と人間模様を描き、行方不明事件からテロまで幅広い題材を扱った。主演は二谷英明。特撮作品出身俳優の多さから「特撮最前線」とも呼ばれ、番組スポンサーである日産から車両提供されたセドリックやスカイラインの覆面パトカーが疾走するオープニングも象徴的な、10年にも及ぶ長寿シリーズとなった。イタリア人歌手・チリアーノのエンディング曲「私だけの十字架」もドラマの世界観を盛り上げた。

’76年11月-’77年5月(TBS)

『赤い衝撃』

山口百恵出演の赤いシリーズ第4弾。同シリーズの主演はそれまで宇津井健だったが、宇津井健が特別出演にシフトし、本作で初めて山口百恵&三浦友和が主演を務めた。大実業家の娘であり、高校陸上界の期待の星でオリンピック出場を目指す短距離走選手の大山友子(山口)が刑事の新田秀夫(三浦)の銃弾をアクシデントで受けて下半身マヒとなり、この二人の関係と、悲劇的な出生の秘密を主軸とするサスペンス。百恵&友和のゴールデンコンビの復活でファンの期待に応え、平均視聴率 27.0%、最高視聴率 32.6%のヒット作となった。当時の百恵のシングルはドラマと同名の『赤い衝撃』で、50万枚を超えるセールスを記録した。

'76年10月-'77年11月(日本テレビ)

『俺たちの朝』

勝野洋の初主演作となった青春ドラマで、『俺たちの旅』に続く「俺たちシリーズ」第2作目。前作の人気を受け、当初は短期放送の予定だったが、全48話の長期シリーズへと発展した。舞台は鎌倉で、若者たちの日常や葛藤、成長がフィルム撮影による映像で描かれる。放送開始時点で結末を定めず、登場人物の性格や関係性を軸に物語を自然に展開させていく手法が取られ、1年間にわたり等身大の青春像を描き出した。

’76年4月-10月(TBS)

『赤い運命』

山口百恵出演の赤いシリーズ第3弾。伊勢湾台風で妻子と生き別れになった検事がようやく見つけた娘は別人で、実娘(山口百恵)は犯罪者の娘として苦難の人生を送っているというストーリー。この作品では百恵の相手役は映画『エデンの東』で共演した南條豊が務めた。前作『赤い疑惑』より視聴率は10%ほど低いアベレージとなり、理由はファンが期待したモモ&トモコンビではなかったことへの失望感と、裏で洋画の話題作が放送されていたためと言われる。出生の秘密が根底に潜むシリアスな物語で、百恵をいじめる役どころの秋野暢子には視聴者から抗議の投書と電話が殺到した。この頃の歌手・百恵の楽曲は「横須賀ストーリー」。13枚目のシングルで、百恵の全シングルの中で最高セールスとなる66万枚を売り上げた。

'76年3月-7月(TBS)

『高原へいらっしゃい』

田宮二郎主演による人間ドラマ。舞台は野辺山の八ヶ岳高原にある経営難のホテルで、冬の終わりから夏の観光シーズンまでの限られた期間に面川マネージャー(田宮)が再建に挑む姿を描く。面川は集めた個性豊かなスタッフとともに、厳しい予算や人間関係の問題に立ち向かいながら、ホテル経営を軌道に乗せようと奮闘する。その背景には、自身の人生を立て直そうとする強い決意があり、再生の物語として展開される。

’76年1月-8月(日本テレビ)

『大都会』

石原プロモーションが初めて本格的に手がけたテレビドラマで、1976年から’79年にかけ日本テレビ系で全3シリーズ132回が放送された。渋谷を管轄する架空の城西警察署を舞台に、渡哲也演じる刑事・黒岩頼介を軸に描く。第1シリーズは倉本聰との共同企画による社会派色の強い内容だったが、第2・第3シリーズでは銃撃戦やカースタントを前面に出したアクション路線へ転換し高視聴率を獲得。後に設定を継承した『西部警察』へと発展した。

’75年10月-’76年10月(日本テレビ)

『俺たちの旅』

吉祥寺や井の頭公園を舞台に、中村雅俊、秋野太作、田中健が主演を務める青春群像劇。当初半年の放送が予定されていたが、人気のあまり1年間に延長された。将来の計画もなくお気楽に生きる三流大学生のカースケ(中村)らが自分らしい生き方を探して苦悩しながら生きる姿を描く。毎回ラストシーンを飾る散文詩とエンディング曲「ただお前がいい(歌・中村雅俊)」がドラマを味わい深いものにし、独特の世界感を作った。主題歌の「俺たちの旅(同)」は累計87.0万枚のヒット曲となり、オメダの妹役で当時人気アイドルだった岡田奈々が歌う挿入歌「青春の坂道」は当時大きなヒット曲とはならなかったものの、2024年の時点で再注目され、YouTube Musicで太田裕美「木綿のハンカチーフ」を抜く配信数を記録した。

’75年10月-’76年4月(TBS)

『赤い疑惑』

山口百恵出演の赤いシリーズ第2弾。前年、東宝映画『伊豆の踊子』で初共演した三浦友和とのTVドラマ共演1作目。この作品でお茶の間に広く知られるゴールデンコンビが誕生する。ある日大学で起きた爆発事故に巻き込まれ、不幸にも白血病に侵された幸子(百恵)と、幸子に心を寄せる光男(友和)の間に潜む悲劇を軸とするサスペンス。全29話の平均視聴率23.4%、最高視聴率30.9%を得た。最終回へ進む中、局には幸子の行く末を案じたり幸せな結末を願う電話が多く寄せられたという。ドラマ放送時の百恵は「ささやかな欲望」「白い約束」「愛に走って」を歌う16歳~17歳。ドラマの主題歌「ありがとう あなた」は「ささやかな欲望」のB面で、幸子の心情を綴る歌詞だった。

'75年10月-12月(日本テレビ)

『はぐれ刑事』

人情味あふれる刑事ドラマで舞台は東京下町の台東署。新米刑事・影山健三郎(沖雅也)と、胸に銃弾を残したまま捜査にあたる先輩刑事・風間史郎(平幹二朗)を中心に物語が展開する。情に厚い風間の捜査姿勢に反発していた影山は、下町の人々や同僚刑事たちとの関わりを通して次第に成長していく。浅草や隅田川の風景を背景に、人間の弱さや温かさを描いた点が特徴のドラマ。

’75年6月-9月(TBS)

『あこがれ共同隊』

’70年創刊のファッション誌『an・an』、’71年創刊の『non-no』がファッションの発信地として原宿を取り上げてアンノン族が誕生し、原宿が注目の的となった時代、当時もっとも人気だった新・御三家の郷ひろみと西城秀樹、花の高二トリオ(=花の中三トリオ)の桜田淳子を主役に制作された青春ドラマ。表参道・原宿を舞台に、夢を追う若者たちの姿を描く。第一回の放送では山口百恵もゲスト出演した。人気絶頂のアイドルを揃えたが、裏で日本テレビ『太陽にほえろ!』という強力な人気ドラマが放送されていたため視聴率は振るわず、当初全26話で予定されていた放送は17話に縮小された。山田パンダが歌う主題歌「風の街」のバックコーラスには、まだソロデビュー前だった山下達郎がバックコーラスで参加していたという今では驚きのエピソードも持つドラマ。

’75年5月-’82年4月(TBS)

『Gメン’75』

前作までの『キイハンター』『アイフル大作戦』『バーディー大作戦』に続くTBSアクション系ドラマの4作目。警視庁本部から独立した組織、警視庁Gメン本部に所属するメンバーの活躍を描く社会派の本格ハードボイルド作品。本部長の黒木警視正役に丹波哲郎、ほか夏木陽介、原田大二郎、若林豪、藤田美保子など。さらに森マリアや千葉裕、鹿賀丈史、夏樹マリ、范文雀など魅力の顔ぶれで視聴者を惹きつけた。予想を上回る視聴率から当初’75年10月までの予定がロングラン放送となる。全355話で最高視聴率は’78年第140話の32.2%。有名なオープニングの陽炎立ち上る滑走路のシーンは、想定していた羽田空港の許可が取れず、千葉県館山市にある海上自衛隊の軍用飛行場・館山航空基地で撮影された。

'75年4月-9月(日本テレビ)

『俺たちの勲章』

松田優作と中村雅俊が主演した青春刑事ドラマ。横浜の架空組織・相模警察本部捜査一係に所属する中野祐二と五十嵐貴久という、性格の異なる若手刑事コンビの活躍を描く。刑事コンビものの先駆的作品でありながら、上司や先輩から厄介者扱いされ、組織内で孤立した存在として描かれ続けた点が特徴。事件解決を通して成長し、大人へと変わっていく若者の姿を描いた、刑事ドラマの枠を超えた青春群像劇となっている。

’74年10月-75年3月(日本テレビ)

『傷だらけの天使』

萩原健一、水谷豊の探偵ドラマ。アンチヒーローな探偵に扮する萩原とその探偵を慕う弟分・水谷の独特のコンビ愛で若者の人気を集めた。怪しい雰囲気漂う綾部情報社の社長(岸田今日子)から舞い込む危険な仕事に弟分の乾亨(水谷)とコンビで取り組み、ハチャメチャさを武器に任務に挑む。魚肉ソーセージやコンビーフを無節操に頬張るオープニングの朝食シーンも視聴者の心をつかんだ。ポマード頭で革ジャンやスカジャンに身を包む水谷のファッションを真似る若者が急増したが、弟分に水谷を推したのは萩原で、理由は『太陽にほえろ!』でマカロニ刑事役を務めた際、犯人役を演じた水谷の人柄や仕事ぶりに感心したためとされる。

’74年10月-’75年3月(TBS)

『赤い迷路』

宇津井健主演による「赤いシリーズ」第1弾で、『顔で笑って』に続き、山口百恵とは親子の設定のドラマ。妻を殺された精神科医(宇津井)が犯人を追い詰める中で娘の明子(山口)の出生の秘密が明らかになってゆく家族の悲劇を軸とするサスペンスで高視聴率を記録し、平均視聴率は18.9% 、最高視聴率22.7%。TBS初出演となる松田優作が元サッカー選手役で登場したことでも話題を集めた。ドラマの開始時、百恵は5枚目のシングル「ひと夏の経験」、6枚目のシングル「ちっぽけな感傷」といずれも40万枚を超えるヒット曲を連発し、トップアイドルとしての地位を不動のものにしていた。

’74年10月-’75年3月(テレビ東京)

『愛と誠』

「週刊少年マガジン」で連載された梶原一騎・原作の人気コミックのドラマ化。不良少年と財閥令嬢の”純愛”がテーマのハードタッチの学園ドラマ。TVドラマでは早乙女愛役を池上季実子、太賀誠役を夏夕介が務めたが、映画版では愛役を一般公募による早乙女愛(役名=芸名)、誠役を西城秀樹が演じた(映画版の続編は別俳優が演じている)。西城秀樹版ではアイドルが誠を演じることに対する原作ファンの強い抗議と、その声に対抗する熱狂的な秀樹ファンの対立によりファンが劇場に殺到し、結果として映画は当時の『男はつらいよ』と並ぶ大ヒット作となった。

’74年5月-’75年5月(TBS)

『バーディー大作戦』

『アイフル大作戦』と世界観を共有する続編ドラマ。谷隼人演じる伊吹裕二を中心に、元生徒の井口マリ(松岡きっこ)や原田三平(川口厚)らが桜田警部(丹波哲郎)を局長に迎えて探偵局を結成し、事件解決に挑む姿を描く。当初は軽快な作風だったが、次第にハードボイルド色の強いアクション路線へと移行した。タイトルの「バーディー」は好機到来を意味し、男性的なスリルとスピード感を打ち出した点が特徴である。芥川隆行の印象的なナレーションも人気を集めた。

'74年10月-'75年3月(日本テレビ)

『水もれ甲介』

下町の水道屋・三ッ森工業所を舞台に家族の再生を描いた人情ドラマ。家出してバンドのドラマーとなっていた長男・甲介は、父の危篤を知り帰郷し、兄弟二人が養子であることを知らされる。父の死後、粗忽者として勘当同然だった甲介は、大学を中退して家業を継いでいた弟に支えられ、工業所を切り盛りしていく。血縁を超えた母や妹との絆を大切にしながら、雑司ヶ谷の下町で懸命に生きる家族の姿が温かく描かれる。

'74年4月-9月(日本テレビ)

『われら青春!』

中村雅俊初主演の太陽学園ラグビー部を舞台にした青春学園ドラマで、東宝・テアトル・プロ制作による青春学園シリーズ最終作。前作『飛び出せ!青春』と同じ太陽学園を舞台に、留年生の山本大作ら旧作の登場人物が続投し、新たにラグビー部の設立と成長が描かれる。神野吾郎を中心とした男子生徒と、白川梨絵率いる女生徒たちの人間模様が交錯する。主題歌『帰らざる日のために』や挿入歌『ふれあい』は大ヒットしたが、番組は半年で終了した。

’74年1月-10月(TBS)

『寺内貫太郎一家』

水曜劇場で放送された、東京下町にある石材店の家族の悲喜こもごもを描く人情味あふれるホームドラマ。小林亜星演じる頑固親父の寺内貫太郎を中心に毎回繰り広げられるアドリブ多めのドタバタ劇が見どころで、平均視聴率31.3%を記録した。主要キャストに悠木千帆、西城秀樹、浅田美代子、左とん平、伴淳三郎、加藤治子。一家の長老・きん(悠木千帆)が腰に手を当てて、壁に貼った沢田研二のポスターを見つめ「ジュリぃぃぃ~~~!」と悶絶するシーンが名物だった。続編有。

’73年10月-’74年3月(TBS)

『顔で笑って』

山口百恵初のレギュラー出演となるホームドラマ。舞台は鎌倉の小さな病院で、院長役の宇津井健の娘役で初共演。放送当時、百恵は「青い果実」「禁じられた遊び」「春風のいたずら」のリリースでトップアイドルへの階段を昇り始めていた。爽やかで初々しい演技が魅力で、本作終了の半年後にスタートした宇津井健主演の赤いシリーズ1作目『赤い迷路』でも宇津井の娘役で出演。役外でも百恵が宇津井を「お父さん」と慕っていたエピソードは有名で、’80年11月に19日に執り行われた実際の百恵&友和の結婚式では宇津井健夫妻が仲人を務めた。

’73年4月-74年5月(TBS)

『アイフル大作戦』

小川真由美主演のコミカルタッチのアクションドラマ。男勝りでお金に目のない探偵学校の校長・岸亮子(小川)をリーダーとする探偵チームが警察と協力して事件を解決するまでを描く。アイフルとは「すごい美人」「目をみはるほどイカす」を意味し、小川の衣装やヘアメイクの華やかさが見どころ。探偵役に松岡きっこ、谷隼人、西田健、警視庁の警部役に丹波哲郎。小川は他局の『女ねずみ小僧』シリーズでの人気から起用され、丹波、谷、松岡はTBS前作のアクションドラマ『キイハンター』からの出演。スタッフは『キイハンター』と同じメンバーで制作された。

’73年4月-'80年12月(日本テレビ)

『非情のライセンス』

生島治郎の「兇悪シリーズ」を原作とするハードボイルド刑事ドラマ。警視庁のはみ出し者を集めて結成された特捜部に属する会田刑事(天地茂)が、型破りかつ非情な捜査で悪に立ち向かう姿を描く。原作の虚無的世界観に加え、ドラマ版では戦中派の心情が色濃く反映され、孤独と怒りを背負った主人公像が強調された。会田を演じた天知茂はニヒルな刑事像を確立し、作品は1973年から’80年まで3シリーズにわたり放送された。

'74年4月-9月(東京12チャンネル)

『高校教師』

加山雄三主演。会社倒産で職を失った北山浩一郎(加山)が、東京都大杉市の白雪女子高校に英語教師として赴任し奮闘する姿を描く学園ドラマ。教師経験ゼロの北山と、担任する3年A組の女子生徒5人組を中心に、生徒や同僚教師、下宿先のスナックの人々との交流が描かれる。屋外ロケーションを多用し、1974年当時の東京近郊の街並みを記録した点も特徴。長らくソフト化に恵まれなかったが、2024年にHDリマスター版DVDが発売予定となった。

'74年4月-9月(TBS)

『白い滑走路』

田宮二郎が航空機操縦士を演じた本格航空ドラマ。日本航空の全面協力を得て制作され、実機ボーイング747やシミュレータを用いた迫真の映像が多用された。操縦室でのやり取りには実際の航空用語が使われ、訓練や管制との交信も現実に即して描写されている。747のラウンジや貨物機製造風景など1970年代航空業界の記録的映像も盛り込まれ、海外ロケも大規模に敢行された点が特色で、現在でも評価の高い航空ドラマとされる。

’73年4月-9月(日本テレビ)

『子連れ狼』

1973~’76年まで「漫画アクション」で連載された人気作品が原作の時代劇。’73年の第一部放送から’76年の第三部まで断続的に続いた。柳生一族により妻の命を奪われた元公儀介錯人の拝一刀(おがみいっとう)が一粒種の大五郎(だいごろう)とともに復讐に挑む物語。コミックで既に高い人気を誇っており、ドラマ化以前に若山富三郎が主演を務める映画版も制作された。幼い大五郎が父親に「ちゃん!」と呼びかける愛らしい姿が話題となり、大塚食品「ボンカレー」のCMで「じっと我慢の子であった」というナレーションがつくパロディ版も生まれた。

’72年10月-’73年9月(日本テレビ)

『パパと呼ばないで』

1970年代、お茶の間で絶大な人気を博した石立鉄男主演で、7歳の杉田かおるが「天才子役」としてブレイクしたホームドラマ。姉の忘れ形見である幼い千春(杉田)を独身サラリーマンの安武右京(石立)が引き取り、下宿先である東京・佃の米屋を舞台に描かれる下町の人情物語。右京に「チー坊」と呼ばれる杉田も、その愛らしさで、石立をしのぐお茶の間の人気者となった。日本酒造の「月桂冠」がスポンサーだったことから、ドラマ内のお酒にはビールや洋酒ではなく日本酒が使われた。

’72年7月-’86年11月(日本テレビ)

『太陽にほえろ!』

1972年から日本テレビ系で放送された刑事ドラマで全718回に及ぶ長寿番組。警視庁七曲警察署捜査一係を舞台に、藤堂係長を中心とした刑事たちが事件に挑む姿と人間模様を描く。当初はマカロニ刑事こと早見淳の成長物語として構想されたが、早見を演じた萩原健一が降板を希望したことにより殉職という展開を採用。以後、新人俳優を主役級で起用し、成長と殉職を軸に世代交代を重ねる独自の手法を確立した。松田優作をはじめ多くのスターを輩出し、後年は実績ある俳優も参加。刑事一人一人の個性を丁寧に描いた群像劇として日本の刑事ドラマ史に大きな足跡を残した。

’72年9月-’73年3月(フジテレビ)

『アイちゃんが行く!』

1972年から’73年にかけてフジテレビ系で放送された全31話の連続ドラマで、フジテレビと大映テレビの共同制作、江崎グリコの一社提供による作品。坂口良子のデビュー作として知られ、前半は父を探す少女アイちゃんが若者二人と共に日本各地を巡るロードムービーとして展開。後半は父と再会した後、義姉らからのいじめに耐えながら懸命に生きる姿を描く根性ものへと作風を転じた。旅の仲間役の交代など制作事情も話題となり、構成の変化が印象に残る作品。

'72年4月-9月(TBS)

『シークレット部隊』

保険金に関わる不正や事件を専門に調査する民間組織・ブレーンリサーチ社の9人の活躍を描いたアクションドラマ。1971年末に終了した『東京警備指令 ザ・ガードマン』への反響が非常に大きく、同じメンバーでの新作を望む声に応えて制作された。企画段階では『保険Gメン』『ニュース・ハンター』が候補となり、最終的に前者を基に本作が成立した。主演の宇津井健をはじめ、藤巻、中条、神山、稲葉、倉石らが引き続き出演し、集団捜査劇としての魅力を継承している。

'74年4月-9月(ANN)

『ザ・ボディガード』

民間の身辺警護会社「ザ・ボディガード」に所属する5人の活躍を描いたアクションドラマ。千葉真一率いるジャパンアクションクラブが格闘やスタントを担当し、迫力あるアクションが展開される一方、人情味あふれる物語が軸となっている。千葉は『ボディガード牙シリーズ』に続きボディガード役を演じた。物語は、正当防衛とはいえ殺人の過去を持つ鷲見秀介が、伊達正に迎えられ会社に加わるところから始まり、仲間や依頼人との関わりを通じて成長し、事件解決に挑む姿を描く。

’72年2月-’73年2月(日本テレビ)

『飛び出せ!青春』

無試験入学制度を取る高校・太陽学園に集う落ちこぼれ生徒たちと、特に問題児ぞろいのサッカー部部長に任命された新任教師が「レッツ・ビギン!」を合言葉に成長する姿を描く青春学園ドラマ。主役の教師役に村野武範、生徒役に石橋正次、剛達人、保積ぺぺ。同僚教師役に酒井和歌子、菅井きんなど。本作は’71年にヒットした同局『おれは男だ!』の後番組として制作されて大きな人気を博し、青い三角定規が歌う主題歌「太陽がくれた季節」の大ヒットも含め、当時の青春ドラマの金字塔と言われた。

’72年1月-5月(フジテレビ)

『木枯し紋次郎』

笹沢左保の時代小説を市川崑の監修によりドラマ化。貧しい農家に生まれた紋次郎が大人になり、ニヒルな渡世人となって生きる姿を描く。長楊枝を口にくわえ、吹き矢のように放つシーンでの決め台詞が元となる「あっしには関わりのないことでござんす」は流行語となった。紋次郎役は新人を起用したいという市川監督の意向により無名だった中村敦夫が抜擢されたが、見事なはまり役となり、視聴率30%超えの人気ドラマとなった。

'71年10月-'72年9月(日本テレビ)

『気になる嫁さん』

榊原るみ主演の全40話の連続ドラマ。清水家の父・呂之助と5人の兄姉弟、家政婦のばあやという大家族のもとに、末っ子・純の婚約者・坪内めぐみが「嫁」として同居することになり、家族とめぐみの笑いと涙の日常を描く。純が留学先で急死した後、めぐみは清水家に残り、家族と深い絆を育んでいく。『帰ってきたウルトラマン』で人気を博していた榊原がウルトラマンを降板してまで取り組み、さらなる人気を獲得した。石立鉄男らベテラン俳優が共演したホームドラマ。

'71年9月-'76年11月(TBS)

『刑事くん』

『柔道一直線』で人気を得た桜木健一を主演に迎えた刑事ドラマ。『刑事コロンボ』のヒットに着想を得て企画され、当時23歳と若かった桜木の年齢を踏まえ、新米刑事を主人公に据えた点からタイトルに「くん」が付けられた。殉職した父の志を継ぎ刑事となった三神鉄男が、人を信じる純粋さを失わず、数々の現実に直面しながら成長していく姿を描く。第1部では辞令を手に母に報告する場面が定番のオープニングとなり、第2部では出勤前に母へ声をかける演出へと変化した。昭和歌手のレジェンド・沢田研二はこのドラマの第32話へのゲスト出演がドラマデビューだった。

’71年2月-’72年2月(日本テレビ)

『おれは男だ!』

後に千葉県知事となる森田健作が主演した青春学園ドラマ。名門女子高から共学化した青葉高校を舞台に、転校生・小林弘二の奮闘を描く。男子が少数派の校内で、弘二は女子のリーダー吉川操と対立しつつ、剣道部を結成して「ウーマンリブ」打倒を掲げるが次第に互いを理解し合う関係へと変化していく。森田健作という青春スター像を確立し、軽妙な台詞や剣道着姿が話題となった。森田が歌う主題歌「さらば涙と言おう」や挿入歌「友達よ泣くんじゃない」もヒット。当時人気を博していたフォーリーブスなど多彩なゲスト出演も特徴で、放送延長されるほどの人気を博した。

'70年4月-'74年4月(TBS)

『ありがとう』

1970年代のホームドラマ全盛期を代表するTBSの連続テレビドラマ。『時間ですよ』『肝っ玉かあさん』と並び“ドラマのTBS”を象徴する作品。脚本・平岩弓枝、プロデューサー・石井ふく子の名コンビにより制作され、シリーズ最高視聴率56.3%という民放ドラマ史上最高記録を打ち立てた。第1~3シリーズは水前寺清子と山岡久乃が母娘役を務め、石坂浩二との恋愛や家族、近隣との交流を温かく描いた。第4シリーズでは配役を一新したが、視聴率低下などを理由に終了した。

'70年4月-9月(テレビ東京)

『江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎』

東京12チャンネルで放送された東映制作の全26話。江戸川乱歩の小説を原作とするオムニバス形式を採り、明智小五郎が登場しない作品やジュブナイル作品も交え、自由な選択と脚色で映像化された。蜘蛛男や黄金仮面など怪人描写は、後の『仮面ライダー』初期に影響を与えたとされる。主演は溝口舜亮で、本作のみ乱歩未亡人の命名により滝俊介を名乗った。再放送もたびたび行われている。

’70年3月-9月(TBS)

『大岡越前(第一部)』

1970年から’99年までTBS系「ナショナル劇場」で放送された時代劇で、南町奉行・大岡忠相の活躍を描く。全15部402話に加え、2006年に特別編が放送された。主演の加藤剛が約30年にわたり忠相を一貫して演じた点が大きな特徴。初期は享保の改革に奔走する若き奉行の成長と人間関係を重視し、次第に講談・落語の「大岡政談」を基にした痛快な裁きへと作風が移行した。『水戸黄門』と並ぶTBS時代劇の看板作品。

'70年1月-'71年4月(日本テレビ/よみうりテレビ)

『細うで繁盛記』

花登筺の小説『銭の花』を原作とし、題名を改めてテレビドラマ化された作品。大阪生まれの加代が伊豆・熱川温泉の老舗旅館に嫁ぎ、数々の困難や確執に耐えながら女将として旅館を立て直していく姿を描く。関西で高視聴率を記録し、次第に全国的な人気作となって放送は長期化した。主演・新珠三千代の芯の強い演技と、冨士眞奈美演じる強烈ないびり役も話題を呼び、続編や後年のリメイクへとつながった。

'65年7月-'90年10月(TBS)

『時間ですよ』

1965年から’90年までTBS系で放送された銭湯を舞台とするホームドラマ。森光子主演のもと堺正章や悠木千帆らが共演し、天地真理や浅田美代子の出世作ともなった。久世光彦が演出・制作を手がけ、女湯シーンの演出も話題を集めた。’70年代にシリーズ化され、’80年代にはリバイバルも制作。とんねるずや藤井郁弥、中居正広ら新世代の出演も注目された。