夜が更けてくると、遠くからかすかに聞こえてくる「チャラリ~ララ♪ チャラリラララ~♪」という音色。
屋台ラーメンがやって来た合図だ。
昭和の頃、仕事帰りの大人たちは、その音に引き寄せられるように足を止めた。
路地の片隅や駅前の一角に現れた屋台の暖簾をくぐると、そこには立ちこめる湯気と醤油の香り。
小さなカウンターに肩を並べ、無言のままラーメンをすする。
知らない同士でも、同じ時間をシェアする不思議な一体感があった。
やがて街は整備されて、衛生や交通の問題から、屋台の姿は少しずつ消えていった。
それでも、絶滅してしまったわけではなく
今も見知らぬ街角で、チャルメラの音を響かせながら走る屋台があるそうだ。
専門店やチェーン店でいつでも美味しいラーメンが味わえる時代になっても
それでも屋台の一杯には、どこか特別な温度がある。
外の空気に触れながら食べるからか、
それとも、音に導かれてたどり着くまでの時間が味に重なるからか。
あの音を聞くと、条件反射のように足を止めたり、食事が済んでいても目で追ってしまう。
それは、昭和人あるある。
胸の奥に広がるセピア色の懐かしさ。
昭和の夜に溶け込んでいたあの音は、タイムマシンの発車時刻を告げる
ふしぎな駅メロなのだ。

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