『とうふ〜』の声も懐かしい、昭和の豆腐屋とラッパの記憶


夕暮れの街に響く、どこか間の抜けたような、しかし耳に残る音。
「プ〜」と鳴るラッパの音は、豆腐屋さんが近づいてきた合図だ。

 

昭和の頃、豆腐は毎日買うものだった。
冷蔵庫が今ほど当たり前ではなかった時代
できたての美味しいお豆腐を売りに来る行商さんは
人々の日々の一部として暮らしに溶け込んでいた。
母や祖母が鍋を片手に家の外へ出ると、通りには白い湯気とともに
木箱を積んだ自転車やリヤカーの姿があった。

 

売り手と買い手の距離は近く、顔なじみ同士の会話が交わされる。
「今日は少し固めだね」「ごめん、明日は来れないわ」
その何気ないやりとりで、その日の食卓の景色が決まっていく。
ラッパの音は単なる呼びこみではなく、人と人とをつなぐ合図でもあった。

 

今、スーパーに行けば当たり前にお豆腐はある。
でも今でも、あのラッパの音が必要な町もある。
で、そんな町のお豆腐には、「お豆腐を買う」ことに
「おなじみさん同士のつながり」という
プライスレスなおまけがもれなく付いている。
それが、昭和のお豆腐屋さん。

 

音を聞いて外に出て、言葉を交わし、手渡しで受け取る。
その一連の流れそのものがひとつの価値で
お買い物も、あったかかった。

 

もうあの光景を身近で見ることはないかもしれないけど
古き佳き時代の景色の中にあったあったかさは
ずーっと覚えていたい。
そんなふうに思う、令和の春の午後でした。

 

 

 

column

こんなおもろい柴犬、見たことない

今日はゆる~い話題で。   最近ドはまりしているYouTubeのチャンネルがあります。 もともと私、柴犬大好きで柴犬の動画はさんざん見漁っているのですが こんなに面白い柴犬、見たことない。と 毎回まばたきもせず ... 続きを読む...

地上波を忘れたテレビ

2年くらい前から、自室のテレビで見るのは動画コンテンツオンリーになった私。 なぜか。理由はあるんです。 それは、何が原因なのかはわからないけれど 私の部屋のテレビ、地上波がまったく映らなくなってしまったから。 &nbsp ... 続きを読む...

なぜ山口百恵は愛されたのか|その人気の本質

今も、その存在を人々の記憶の中に鮮明に残し じつに半世紀という永い時が過ぎても 今なお変わることなく愛され続ける昭和のトップアイドル 山口百恵。   なぜこの人は令和の今になっても 人々の心に、鮮やかに生き続け ... 続きを読む...

失って気づく、昭和歌謡のすごさ|歌手たちの“歌のうまさ”とは何だったのか

失って、はじめて気づくものの価値。 いくつかのことに言えることだと思うのだが、 これに同意してくれる人は多いはず。   「昭和の歌手は、本当に歌がうまかった」。   なので、今回はそれについて少し掘り ... 続きを読む...
Rusty Padlock On Blue Door ALT

令和に再評価される昭和歌謡。その理由は

昭和のヒット曲が、令和の今、再び脚光を浴びている。 中島みゆきの「時代」、久保田早紀の「異邦人」、岡田奈々の「青春の坂道」 そして松原みきの「真夜中のドア〜Stay With Me」。 いずれも発表から数十年を経た楽曲が ... 続きを読む...

昭和ヒット曲の裏側――あの時代をつくった仕掛け人たち

令和のヒット曲はイントロが簡素なものが多い、と言われる。 いきなりサビから入るパターンもよくあるそうで。 でもそれが本当にそうなのかどうか、私にはわからない。 何故なら、私はほとんど、今の音楽を聴かないから。 &nbsp ... 続きを読む...

恐怖の原体験は、「ザ・ガードマン」の中に

子供の頃、この日だけは夜更かしを許されて楽しみに観ていた大人向けのドラマ 「東京警備指令 ザ・ガードマン」。 東京パトロールという架空の警備会社に属する私服の警備員たちが 毎回、潜入捜査などで刑事さながらの活躍で事件を解 ... 続きを読む...

『とうふ〜』の声も懐かしい、昭和の豆腐屋とラッパの記憶

夕暮れの街に響く、どこか間の抜けたような、しかし耳に残る音。 「プ〜」と鳴るラッパの音は、豆腐屋さんが近づいてきた合図だ。   昭和の頃、豆腐は毎日買うものだった。 冷蔵庫が今ほど当たり前ではなかった時代 でき ... 続きを読む...

昭和の夜から変わらない、チャルメラの音はなぜ消えない?

夜が更けてくると、遠くからかすかに聞こえてくる「チャラリ~ララ♪ チャラリラララ~♪」という音色。 屋台ラーメンがやって来た合図だ。   昭和の頃、仕事帰りの大人たちは、その音に引き寄せられるように足を止めた。 ... 続きを読む...

『い~しや~きいも~』昭和から続く石焼き芋の売り声

夕暮れどき、どこからともなく聞こえてくる「い~しや~きいも~、や~きいも♪」という声。 あの独特の節回しは、昭和の時代からほとんど変わっていない。 子どもの頃、この声が聞こえると家の中にいながらそわそわした。 財布を握り ... 続きを読む...

「プレイバックPART2」は「勝手にしやがれ」のアンサーソング?

山口百恵「プレイバックPART2」の2コーラス目の歌詞 “勝手にしやがれ 出ていくんだろう”のフレーズを聞いたとき 内心「あれ?」と思った人は少なくなかっただろう。 私もただの偶然だと思っただけだった。   「 ... 続きを読む...

沢田研二がいた、まぶしい時代。

  ジュリー全盛期だった’70年代、筆者はジュリーのファンではなかった。 というより、「ファンではないということにしよう」と、幼なごころに、そう決めた。   筆者は彼よりちょうどひとまわり ... 続きを読む...